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2008年11月13日

リンパ

[ art ]

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ぽっかり開いた木曜日の午後。

大琳派展を見に行ってきた。
会場で買うと並んでそうだったので
最寄り駅でチケットを購入する。

ガラス越しにチケットを出す前に
小さい声でゴニョゴニョゴニョって言われた。
「え?なんですか?」
「会場込み合ってますので、待ちますよ。」
「ああ、はい(平日の昼間なのに待つんだ・・・)」
「では」
(チケットを差し出される)

駅から公園内を歩いて会場まで数分。
銀杏の実の独特の香りが辺りに漂っていた。
混んでると聞いたせいで、何となくセカセカと急いで歩く。

同時に話題性のある展示会が
公園内の複数の美術館で開催されているからか
紅葉を愛でにくるんだか
はたまた観光なのか・・・すれ違う人の数が普段より多い気がする。

会場に着くと、北斎展の時よりは少ないものの
やっぱり人の多さにグッタリする。

広い会場は4つに分かれていて
展示作品数の多さが予測できた。

蒔絵や焼き物、書に着物まで。

今回の目玉とも言うべき作品はやはり風神雷神図だろう。
俵屋宗達の風神雷神図屏風(京都 建仁寺)
尾形光琳の風神雷神図屏風(東京国立博物館)
酒井抱一の風神雷神図屏風(東京 出光博物館)
鈴木其一の風神雷神図襖(東京富士美術館)

荒々しい俵屋宗達の風神雷神に対して
2体のバランスも繊細な線も、描写も美しい尾形光琳。
デフォルメされたような、のっぺりした色彩の酒井抱一。
こなれた線で2体の間が広くとられた鈴木其一の風神雷神。
これらが順に並べられ、比較しながら鑑賞出来て良かった。

特筆すべきは、
尾形光琳の風神雷神図屏風の裏に描かれた酒井抱一の「夏秋草図」。
風に吹かれ、ざわざわと揺れるススキの穂先。空を舞う秋色の葉。
雨にうたれる夏草、地面に触れんばかりにうなだれた百合の花。

酒井抱一は度々、尾形光琳の図柄を模写していて
オリジナルの隣に配置され、その違いを楽しむことが出来た。

琳派は秋の草を好んで描いたとされているけれど
なるほど、どの画家も秋草の表現が巧み。
その色彩が素晴らしい。
学ぶべきところばかり。

秋草だけでなく日本の野の草・・・いいなあ。

秋の野草ではないけど、気に入った作品
鈴木其一の「雨中桜花楓葉図(東京 静嘉堂文庫美術館)」
薄く色づいた可憐な桜が雨の中で身を震わせているような図と
秋色のグラデーションが美しい楓。
雨に打たれて、なお凛としている図が一対で一つの作品になっている。

同じく鈴木其一の「暁桜・夜桜図(兵庫 黒川古文化研究所)」
色彩を加えて表現した暁桜と墨の濃淡で表現された夜桜。

薄紅の暁空に、蕾を開き始めた桜と柔らかに桜を覆う春霞。
それと対照的にシルエットだけが浮かび上がる夜桜と露を含んだ重い霧。

表現手法を継承しながら、少しずつ奏でる旋律が変わってゆく。
まだまだ足りない。
もっと観たい・・・と思いながら会場を後にした。

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いつも、会期終了間近に慌てて行くもんだから
そうなるんだろうな。
わかっちゃいるけど、
そうそう良いタイミングで行けない(苦笑)。

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投稿者 ジェイ : 2008年11月13日 22:57

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